霧の中のモハーの断崖

日曜日。ゴールウェイ は朝から霧に包まれていた。ノリーンの作ってくれたランチボックスを持って家を出ると湖の向こう側は霧に包まれて、真っ白で何も見えなかった。

今日はモハーの断崖を見るバスツアーを予約した日だ。€22。この霧、晴れてくれないかなぁと願いながらバスの停留所に向かう。

45分の受付ギリギリにチェックインすると係りの人から少し待っててとの指示が。学校で一緒の日本人学生の人たちと行くつもりでチケットを取ったのだが、彼らは優秀なので先に着いていてもうバスの中にいるという。てっきり同じバスに案内されるのかと思いきや、この日は大盛況でバスが二台でていた!乗ったら別のバスだったのだ。

10時、満席でバスが出発。運転手のおじさんはガイドも兼ねていて、ダブリンで参加したツアー同様に話す話す!移動中はず〜〜っとアイルランドの歴史と文化について話してくれていた。ぼんやりしていると一時間もしないいうちにバスが停車。一つめの観光スポット、デューングラ城に到着した。

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15分しか見る時間はなかったので、さくっと城の周りを歩く。石造りの城がゴールウェイ湾を背景に浮かんでいる景色はとても想像力がかきたてられるものだった。中世がそのまま、ここにあるという感じ。時間があれば中に入りたかったな。

そのまま海沿いの道を走るバス。うとうとしてたのでどこに降ろされたのか聞いてなかったのだけど、みんなが進む先に着いて行くとなんと崖!

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霧で視界が良くなくて気づかなかったけど一歩踏み出したら荒ぶる海へ真っ逆さま…眠気が一気に覚めたのだった。

バスはドゥーランの町へ。ここはモハーの断崖の最寄りの町で、アラン諸島へ向かう船も出ている。この町で45分間のお昼休憩。いくつかのパブとお土産やさんの並ぶ小さな町だった。カフェでコーヒーを飲んで、チョコレートトフィー屋さんを物色。一枚買うとお店の人がどこから来たの??と声をかけてくれた。日本だよと答えるとマウントフジね!有名な日本の高い山!と言ってくれた。富士山のことこっちの人も知ってるんだなぁとちいさく感動。そして私は富士山の存在を忘れていたことに気づく。これから日本の紹介をするときは富士山の名前を出そうと思った。

霧の中をバスが走る。窓の外は景色が変わってきて、丘を覆うのは草木ではなくいくつもの石だった。背の高い建物も、生い茂る木々もそこにはなく、遥か向こうまで車内の窓から見渡せた。そして空がとてつもなく広くて大きいのだ。この国に来てからこの空の大きさに何度も何度も驚かされている。東京にいる限りこんなに大きな空はとてもじゃないけど見られないし、たとえば地方の方に観光に行ってもここまで広い大地というのには出会わなかった。日本の土地は起伏があって、木々が生い茂っていてそもそもの地形が違うのだろうな。

雲が割れて青い空が覗き見えていた。雲の向こうも果てしなく広がる青さになんだかとても感動してしまう。そしてこのまま晴れて欲しい、そう願ってこの日のメインであるもハーの断崖に到着。

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ビジターセンターの前の駐車場は様々なツアーバスでいっぱい。色んな国からの観光客で賑わっていた。ここでの滞在時間は1時間半。高台に登る途中で日本人のクラスメイトに会い、何も見えないからお茶でもしに行こうと声をかけてもらったけど、まだ着いたばかりだし、ここまで来て何も見ずに帰るのはいやだ!と思って一人で登り切ってみた。

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しかし、ほんとに視界は真っ白。なんも見えない…でもまだまだ時間はあるし霧が晴れないかとねばってみた。
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すると!一瞬だが霧がさぁっと視界から消えて、雄大な断崖の姿を見ることができた。もの凄い迫力。とてつもない巨大なものを目の前にすると、改めて自然のやることのスケールの大きさにびっくりするし、敵わないなと思ってしまう。自然の中に神様をみた、古代のケルト人たちの気持ちがわかった気がした。

ほんとに一瞬だったけれど、見れてよかった。でも次は晴れた日に見たいな。

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バスの時間の15分前にビジターセンターのトイレへ向かうととんでもない大行列になっていた!どこのツアーも同じような時間に出発なのだろう。しかし、アイルランドのトイレは男女共用。全てが個室なので回転が早い!日本もこれにならないかなぁ。すごくいい。

モハーの断崖を出て、バスはバレン地方へ。この辺りは石が多く、石灰岩がゴロゴロしている。ゲール語でバレンは「石の多い場所」という意味だそうだ。

まずバスは古い教会へと向かった。ここにはたいへん古いハイクロスが残っているのだ。

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ケルトの文様が年月にさらされて、風化していたけれど、確認できた。神聖でしんとした静かな場所だった。

そして最後に巨人のテーブルと呼ばれるドルメンへ。

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石灰岩のデコボコした地面の真ん中にドンっとテーブルのような姿の巨石が積まれていた。これだけ巨大なものを積み上げた古代の人たちはすごいなぁ。石だらけの空間にドルメンがある光景はなんだか宇宙の遠い星の光景にも見えて、不思議な気持ちになってしまった。
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