クリフデンヘ!
曇り空続きのアイルランド、今日は久々の晴天だ。貴重な晴天と、昨日のもやもやもあって気分転換がしたかった。ここはもう思い切って学校を休んで遠出することに!
学費が一日分もったいないなぁと思いつつも、気分転換は必要!朝の9時、クラス替えの嘆願書(昨夜みっちり英文でしたためたもの)を提出して、バスの時間まで朝のショッピングストリートをうろうろ。街には朝からツアーの観光客の皆さんが散策していた。
9時半発のバスに乗ってクリフデンヘ。クリフデンはゴールウェイ州の西の端の方にある小さな町だ。バスで1時間半ほど。西へ西へとバスが走っていくと、景色がみるみる変わっていく。
石だらけの大きな丘の手前に大きな湖が見える。その光景はなんだか恐竜が生きていた頃のような、手付かずのありのままの自然の光景に見えた。なんだかワクワクしてしまう。
しばらくして町らしきものが見えてきた。バスが坂道をグッと上ると、そこはクリフデンの町の中心だった。坂道に沿って素朴な建物が並んでいる。バスは折り返し、ゴールウェイの街へ向かう人々を乗せて走り去った。
山の方だからだろうか、気温がグッと低い。ゴアテックスのジャケットのチャックを一番上まであげて、少し町をあるいてみる。観光地でありつつ、地元の人たちの生活がぴったり寄り添っているような雰囲気で、日差しも気持ちいいし、素敵な町だ。
時計はもうすぐお昼の12時になろうとしている。まずは腹ごしらえ。シーフードもいいなぁと思いつつもお客さんが何組か入っているレストランに入った。ランチプレートのローストビーフ€12.9をオーダー。
おっきなローストビーフが2枚も!グレービーソースも美味しくって、お肉の下のマッシュポテトも絶品だった。左上にあるのがマッシュしたニンジンとパースニップ。これがすごく美味しい。コンソメで煮てからマッシュしているのだと思う。味がとても良かった。大満足のランチ。店員さんもとても気さくで、気持ちがいい接客だった。
腹ごしらえを終えて、向かうはスカイロード。大西洋沿いの道を行くと、最高地点からは大西洋を見渡せる展望台に辿り着くのだという。町でレンタサイクルを借りるかどうかしばらく悩んだけれど、借りずに歩きで向かうことに。途中にクリフデン創設者のジョン・ダーシーのお城の廃墟がある。そこまでは徒歩で町から30分ほど。最高地点までは徒歩で1時間30分はかかる。お城まで行ければいいから歩きにしようと思い、歩き始めた。
視界の先には青い空に岩だらけの丘たち。ヒースをはじめとした野草が揺れていて、アイルランドらしい道のりが美しい。民家がポツリ、ポツリと建っていて、さぞやここの暮らしは清々しいんだろうなぁと一軒一軒想いを馳せる。
牧草を食む羊や牛たち。たまにロバも。
素晴らしい景色に心奪われながら歩いているとクリフデン城の真上に。
ここから下れば…と思っていたけど、道がない!?グーグルマップで確認すると、どうやらうんと手前の道から専用の道を行くと城に辿り着くようだった。ああ…すっかり入り口を通り過ぎてしまった。でもまぁいっか…こんなに景色がいいし、せっかくだらもっと歩こう。
ここからスカイロード最高地点の展望台までは徒歩で1時間。さすがに一時間は無理だからもう少し景色がひらけたら引き返そう。などと思っていたけど、広い川から大西洋に繋がるあたりの景色がまた壮大で、ついつい歩みを進めてしまった。途中冷たい雨が強く降り出したりして、諦めようかとも思ったけれど、あと15分…あと10分…と思うとここで引き返すのはもったいない!と思ってしまい、気がついたら最高地点の展望台まで歩いていた。1時間半の道のりを写真を撮りながら歩いていたので結局2時間ほどかけてのぼりきった。
展望台には駐車場があって、たくさんの車が止まっていて、ツアーバスも来ていた。
展望台からの眺めはこれまた素晴らしかった。大きな空、大きな雲の、大きな影が、大西洋に落ちている。海は静かで、陽の光を反射してキラキラと輝いていた。諦めないで歩いて来て良かった。
こんな山の上なのに、ホットドックやコーヒーを売る小さなお店がポツリとあって、おじさんが一人で切り盛りしていた。小さな水筒一つで来てしまったため、ありがたい!という思いで€2のお水を買って飲んだ。ちゃんと冷えていて、美味しかった。
そのあとはまた山を下って、先程通り過ぎてしまったクリフデン城へ向かう。途中また強くて冷たい雨に打たれながらも、お城に着く頃にはまた再び晴れ渡っていた。
門を抜けて10分ほど緑に囲まれた細い道を歩く。門から向こうも何人かの人が所有する土地らしく、羊たちが放し飼いされていたり、民家があった。スカイロードは高いところにある道だったけれど、ここは低いところ。海岸線のすぐそば。また景色の見え方が違う。
そしてクリフデン城へ到着。今は廃墟となっていて、入場もフリー。とても綺麗に朽ちていて、中に入ると天井はなく、青い空が見えた。外壁を緑の蔦が覆っていて、小さな花も咲いていて、まるで物語の中の世界のようでほんとうに美しかった。
そこから歩いてまた町に戻る。
道中、私の前を歩く人や、車を止めて人々がなにやら木ノ実を食べていた。私も挑戦してみたけど、かなりすっぱい。みんなこれが好きなんだなぁ。
町に着くと体が冷えてしまったので、地元の人しかいないようなパブへ。ホットコーヒーを頼むとインスタントだけどいいの?と聞かれた。インスタントでも、うんと美味しかった。
バス停はゴールウェイの街へ向かう人で人だかりができていた。1時間に1本しかバスがないのだ。18時30分のバスだけれど、なかなか来ない。みんな口々にあのバス?いや、違う…あれはツアーのだよ…寒い…と言っていた。そうしているといきなり雨が降り出した。何度目だろう。あっという間に止んだのでよかったけれど。雨が通り過ぎると誰かが「虹だ!」と言うので空を見上げてみると大きな虹がかかっていた。それもダブルで!すごい!バスの中からも壮大な景色に虹がかかっていて、あっという間に3本も虹を見てしまった。
日本でこんなに虹を見ることないもの、感動してしまう。バスから見た虹は根っこまで見えていて、あの下に宝物があるのかなぁと思うと嬉しい気持ちに。
8時過ぎ、ゴールウェイ に到着。夕日に包まれた街を見て、なんだか帰って来たなぁと思った。