アラン諸島へ行ってきた

学校のレセプションで€25でアラン諸島行きのツアーを予約。今日はその日だ。

一日のスケジュールがまったくわからないまま時間通りに街のアラン諸島ツアーセンターで受付を済ませると近くの通りでバスに乗ってと四枚のチケットを渡された。

バスが9時30分に出発。ツアーだとばかり思っていたのでところどころで停車したくさんの人を乗せて行くバスに頭の中にはてなが浮かぶ。

1時間ほどバスに揺られるとフェリー乗り場に。残り3枚のチケットの1枚がもぎられていく。

この辺りでツアーといってもバスとフェリーの足だけの予約で、思い浮かべていた添乗員さんがつくようツアーではないことをようやく理解した!おそい!

そしててっきり学校主催のツアーだと思っていたら、そうではなく一般向けに開かれたツアーに学校からも予約できるというものだったのだ。一人参加だった私は孤独感が一層増した。

 

フェリーは満杯。中学生くらいの学生の団体がたいへん賑やかだった。この日は朝から曇りで肌寒く、フェリー乗り場に着く頃には雨が降っていた。そして海も時化ていたので船内はかなり揺れて気持ちが悪い。

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通路を挟んで向こう側の屈強な男性も気持ち悪そう。船のスタッフがビニール袋を持って船内を歩いている。何かな?と思ったら気持ち悪くなった人にそのビニール袋を渡して甲板へ連れて行っているようだった。

50分くらいなんとか船酔いと戦い、11時頃にアラン諸島で一番大きな島、イニシュモア島に到着。

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港は風が強く視界は真っ白で雨が降りつけている。こんな中自転車を漕いでドンエンガスまで行けるのか…と不安に。とにかく寒いので自転車を借りる前に体を暖めたいとと思い港から一番近いパブに飛び込んだ。

まだ店内にはカウンターに三人しかおらず、店主の寡黙そうなおじさんが一人でカウンターの中にいた。私の顔を見るやいなや「ギネス?」と。ううんビールの気分じゃない。とにかく寒くて何かあったかい飲み物が欲しいですというとカウンターの女性が「アイリッシュコーヒー?」と言ってくれたが、自転車に乗ることを考えるとここはホットコーヒーにしておいた。

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しばらくすると店内に続々とお客さんが。先程同じ船で着いたばかりの家族の団体と、海岸で雨の中ハーリングをやっていた男性たちの団体だ。

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店内は昔ながらの装飾で、椅子もテーブルも古くて素敵。お客さんが増えても静かで心地よい空間だった。窓の外の鈍色の空から差し込む光だけの薄暗い店内がまたよかった。曇りの日がうんと似合うお店だと思った。

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B &Bも兼ねているようなのでいつか泊まりで帰りのフェリーを気にしなくていい日にのんびり飲みたいお店だった。

この日の装備はTシャツに長袖を羽織りその上からゴアテックスの上着を着ていたのだがそれでも海風に煽られるとものすごく寒かった。着いたばかりだが意を決してアランセーター屋さんで買い物をすることに。

アランセーターはこの島の特産物で、きちんとライセンスもしかれているもの。ステッチにはそれぞれ意味が込められていて、ダイヤモンドの編み目は富と繁栄を…命の木の編み目は一族繁栄を…などたくさんの種類があり、それらが組み合わさって一枚のセーターが作られている。そんな様々な願いが込められたあたたかいセーターを€49.95で購入。これで寒さの心配はなくなった。

そうなると今度は腹ごしらえだ。時間もお昼の12時を少し過ぎた頃。セーター屋さんを出て目の前にあったシーフード屋さんに入ってみた。

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現代的な内装でおしゃれな店内。ちらっと隣の席を見るとフィッシュ&チップスもボリュームがあって美味しそうだったがムール貝の酒蒸し€16を頼んでみた。

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お皿にいっぱいのムール貝が!ひとつひとつは大きくはないが身がギュッと詰まっていてとても美味しい。塩気の強いハムと玉ねぎと一緒に蒸してあり、お酒の他にミルクも入っているようだ。クリーミーで塩気のある貝のダシたっぷりの汁にパンを浸して食べるとものすごく美味しかった。途中まで数を数えながら食べていたがあんまりたくさんあるので数えるのをやめてしまった。たぶん60個は一人で食べてしまったと思う。立派な貝塚が完成!

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お腹も満たされて午後一時過ぎ、やっとレンタルサイクルを借りにまた港の方へ戻る。雨は止んだが空はどんより曇りのまま、しかし到着した時は白い霧で先が見えなかったのだが霧は晴れて見通しはよくなっている。よかった。

レンタサイクルは€20(うち€10はデポジット)お金を払って自分で勝手に自転車を選んで乗って行くスタイル。私はマウンテンバイクにしたが、ママチャリ型や二台の自転車が連結したカップルで漕ぐような自転車、後ろにバギーがくっついていて子供を乗せられるタイプなど様々な種類の自転車があった。

マウンテンバイクの山の中から一番サドルの高さがちょうどよく、座り心地の良さそうなものを吟味。あとブレーキもチェックしてこの島最大の観光スポット、ドンエンガスを目指して走り出す。

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町中にあまり道案内の看板もなく、レンタルサイクル屋さんのチラシを見ると町の真ん中の道か海岸沿いのルートのふたつしかないようで、所要時間は自転車で30分と書いてあった。たぶんこっち!と走り出してみるもなんか違うような気がしてグーグルマップで現在位置を確認して見ると案の定逆側へと走っていた。ありがとうグーグルマップ…。最初から確認していけばよかったね。

グーグルの指示のもと自転車を走らせていくと石造りの教会が。せっかくだからと中へ入ってみると誰もおらず外の風の音だけが響いていた。綺麗なところだった。

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しばらく走っているとアイルランド語でドンエンガスまで○分の標識が。こっちで方向は大丈夫のようだ。グーグルマップは島の真ん中を走るルートを勧めていたが、海沿いを走る方が気持ちいいに違いない!とそちらのルートへ。

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アイルランドは西の方の大地は貧しく、わずかな土に海藻を肥料にして混ぜ込み作物を育てていたのだそうだ。

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石垣で区切られた大地に背の低い草が生えていてそこを牛たちがのんびりと歩き、思うままに草を食んでいた。鈍色の空と大地とたまに牛。自分がほんとうに遠いところまで来てしまったんだなぁと思わせてくれる景色だった。

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崩れた石の建物がぽつりぽつりと残っていて、白と黄色、紫色の花が揺れていた。さびしいんだけどかなしくはない、そんな光景だった。

心惹かれる景色に出会うたびにカメラを構えていたので30分で着くところ1時間30分もかけてしまった。途中でツアーバスに何台も抜かされて、馬車ともすれ違い、やっとドンエンガスのビジターセンターへ。自転車はその手前のパーキングエリアに停めるのだけど、特に鍵もついてない車体なのでちょっと心配だったが、きっとお互いの信頼で成り立ってるからこの仕組みが成立してるんだと思って、そのまま置いてきた。同じのが何台もあるのでい一応目印にリボンを結んで。

ビジターセンターで学生料金€3を払うと扉をでて右手だよと案内された。すると崖の上までかなりの登り道が!時刻はすでに3時。帰りのフェリーは5時発でなのでのんびりはしていられない。少し焦ってきた。15分ほどかけて登りきると、ドンエンガスの壮大な光景がそこに広がっていた。

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また雨が降りつけてきて、風がとにかく強い。帽子が飛ばされかけるのを必死におさえて、柵のない崖の端のほうまで、地面も滑るし怖くて少し手前までしか行けなかったが、真っ青な波がダイナミックに岩肌を打ち付けるのが見えた。すごい…ものすごいスケールだ。

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切り立つ崖が霞む空の向こうまで続いている。曇りで雨降りだったので、この景色の壮大さと恐ろしさみたいなものをがっつり感じることができた。晴れた日に来るとまたきっと印象が違うんだろうな。もうちょっと怖くないのかもしれない。

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岩の上に座り込んでヨガのポーズで崖を眺め続ける人もいた。ものすごくおっきな大地と繋がる感じ、なかなか経験できるものじゃない。私もそうしていたかったけど、そろそろここを離れないと!

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また降り出した雨に足を滑らせないように気をつけて下山して自転車置き場にいくとちゃんとそこには私の自転車があった。帰りはカメラを構えて立ち止まることのないように!と自分を戒めて自転車にまたがった。行きであんなに時間をかけてしまって、ちゃんと30分で戻れるのかな…上り坂と下り坂を繰り返す地面に脚がガクガクになりながらなんとか自転車を返してデポジットの€10を受け取り4時40分。

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無事フェリーに間に合い、7時過ぎにホームステイ先に戻る頃にはへとへとの腹ペコだった。険しかったけどいい1日を過ごすことができてよかったな。