アイルランド古代遺跡ツアー

ダブリン五日目。今日は先日予約したタラの丘へ行くツアーに参加。タラの丘の他にもいくつか古代遺跡をまわる。

ツアーを引率するのはドライバー兼ガイドのサンドラ。半袖短パンでひたすら喋るパワフルなアイリッシュ女性。

それとドライバーのお兄さん(なぜか彼は最後まで運転しなかった)の二人だ。

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少し大きめのバンに乗り、ダブリンのモリーマローンの銅像を8時に出発。

森かと見まごうほど広大なフェニックスパークを抜けて、まずはタラの丘に一時間ほどで到着。

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朝の9時ちょっと過ぎ。雲の間から時折日が差して来る。

アイルランド人の心の故郷とも言われるタラの丘。

ドライバー兼ガイドのサンドラが案内をしながら先頭をきって歩いていく。

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丘の上へ上がっていくと360度視界が開けていた。アイルランドの3/4が見渡せると言われているらしいのだが、確かにいい眺めだ。f:id:yomokuma_land:20180718030812j:image

この丘には新石器時代から人間が定住するようになり、ケルト人が信仰していたドルイド教の中心になったそうだ。そしてここに王座があったので、キリスト教が入って来てドルイド教が衰退してからも聖地として存続していたらしい。

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この丘にある象徴的なリアファールと呼ばれる石はこのハイキングにふさわしい者がこの上に立つと叫んだのだという。ジョージア州から来た夫婦が叫びながらこの石に触れていて微笑ましかった。私が触れても石はもちろんだんまりだった。

アイルランドにある4つの州はかつては5つの州に分かれており、それぞれ王様のいる国だった。北部のアルスター、南部のマンスター、東部のレンスター、西部のコナハトにタラの丘のあるミース(現在はミースはレンスター州に属している)である。その中から選出されたのだがハイキングだ。といってもケルト人は統制された国であることは好まなかったので、ただ単に象徴的な存在だったのだそうだ。

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まだビジターセンターへも開く前の時間、訪れている人は私たちツアーの人とあともう1組くらいで、とても静かで朝のひんやりした空気が気持ちよかった。緑の多い大地特有の空気の清々しさだ。過去にこの大地で神聖な儀式が行われていたと思うと、なんだか不思議な気持ちになって来る。「タラに帰る」という言葉はアイルランド人にとってアイデンティティを彷彿とさせるもので、この土地が彼らにとってとても大事なものだというのことに思いを馳せながら歩いてみた。

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30分ほどで出発。移動中もサンドラがものすごい勢いで話し続ける。途中まで頑張ってリスニングしていたが、脱落して眠ってしまった。

気がつくと次の目的地、トリム城に到着。サンドラが解説しながら案内してくれた。サンドラは弓を射るジェスチャーなどをまじえてノルマン様式のこのお城はとにかく要塞として守りが堅いというようなことを説明してくれた。たぶん。最後に私に早口でごめんねとサンドラ。私がもっと英語を勉強しなくてはと思ったのだった。

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城の跡に黄色い花が咲いていて、ボイン川が向こうに見える景色は美しかった。

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さてここから車を走らせて向かった先はLoughcrewという古代遺跡。

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ここは日本のガイドなどにはあまり載っていない。古代の首長的な立場にいた人物が埋葬されている古墳だ。紀元前3200年前に建てられたもので、古墳の中に入ることができる。懐中電灯を持って頭をぶつけないよう気をつけながら中に入る。

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中には保存状態のいい石があり、そこにはニューグレンジの石にあるような渦巻き模様が刻まれていた。

だいぶ高い丘の上に立っているので、ここからも広々とした景色が見える。朝と変わって天気も良くなって雲が流れると緑の大地にその影を落としていた。

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清々しい気持ちで丘を下りて、駐車場の前のカフェへ。到着した時にオーダーだけ済ませていたランチの料金を払い、席に着く。若い女の子たちが三人、テキパキと働いていて笑顔もたくさんですごく親切だった。

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パニーニに本日のスープをセットで。飲み物はあったかい紅茶を。ミルクをつけて欲しいと言ったらたっぷりくれた。水もついでに買って€11。

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このパニーニ、人生で一番美味しかった。厚切りハムにたっぷりとろけたチェダーチーズ、トマト。バターもしっかり塗られていて、マスタードのソースがバッチリだった。ほんとに美味しかったので、また食べに行きたいくらい。

この日のスープはセロリの入った野菜のスープ。これもたっぷりボウルに入っていて、とっても美味しかった。紅茶もおっきなカップで出てきたし大満足なランチだった。

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天気もいいし建物もかわいくて、隣の棟では子供たちがワークショップをやっていたみたい。

古い暮らしを再現した建物も併設されていた。

 

時刻は午後2時。これから最後の場所へと向かってバンが走っていく。お昼を食べて満腹だし、結構動いているので移動時間に一眠り。

外の天気は相変わらず良く、車がスピードを落としたので到着したかな?と思い目を覚ますと杖のような長い木の棒を持ったおじさんがサンドラと握手していた。そのままおじさんを乗せて走ること数分。おじさんは溌剌としていて明るく、にこやかに話している。ガイドの人のようだ。まるで知り合いのおじさんを乗せたかの気軽さだったので一瞬何事かと思った。

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Uisneach Hillは海抜596フィートの丘で古代の政治的、文化的、宗教的、神話的、地理的にも中心の地でドルイド教キリスト教以前の宗教)の儀式の地だった。たしかにアイルランドのちょうど真ん中に位置している。ここで焚かれた盛大な火はタラの丘から見ることができたそうだ。今も大規模な焚き火のフェスティバルが年に一度開かれているのだそう。とっても興味深い。

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ガイドのおじさんは木陰の椅子に腰掛け、みんなを座らせて、しばらくじっくりとアイルランドの太古の昔の成り立ちから神話の話をたっぷり20分くらいかけて私たちにしてくれた。

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空が信じられないほど青く、日差しが突き刺さるくらい強かったけれど、木陰は涼しく神秘的で清々しい雰囲気だった。そのまま歩いて行くと丘の上に。そこは今日一日で巡ってきたどの丘よりも見晴らしが良く、美しいアイルランドの大地が360度見渡せる場所だった。おじさんは私たちに東西南北を木の棒で指しながらまたたっぷりと話をしてくれた。3割も理解はできなくて悲しかったが、おじさんはしみじみと「アイルランドは美しいだろう。」と私たちに言っていた。その場にいたツアーのお客さんたちも私も深くそれに頷いた。アイルランドはとても美しかった。

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見渡す限りの美しい景色を後にして、おじさんは最後は私たち一人ずつとしっかり握手をするとにこやかに去っていった。また彼の話を聞きに来たいな。もっと英語を上達させて来ようと心に決めた。

一時間も車を走らせるとダブリンの街に着いた。あんなに静かな神秘的な場所からわずかなところにこんなに賑やかな街があるなんて、不思議だな。まるで太古の時代からの時間旅行でもしてきたみたいな気持ちで出発地点と同じモリーマローン像の前で喧騒に包まれると、現実の方がまるで嘘みたいなそんな気がした。